「縄跳びがうまく飛べない」「字が枠からはみ出してしまう」「よく物にぶつかる」 お子様のこのような様子を見て、「努力不足かな?」「少し不器用なだけかな?」と感じたことはありませんか?
実は、これらの「不器用さ」の背景には、**「発達性協調運動症(DCD:Developmental Coordination Disorder)」**という神経発達症が隠れている場合があります。
今回は、近年注目されている発達性協調運動症(DCD)について、その特徴や原因、適切なサポート方法を詳しく解説します。
1. 発達性協調運動症(DCD)とは
発達性協調運動症(DCD)とは、筋肉や感覚、神経の働きを統合してスムーズな動きを作る「協調運動」に困難が生じる疾患です。知能や筋力自体に明らかな問題がないにもかかわらず、年齢相応の運動動作が著しく困難な状態を指します。
これは単なる「運動神経が悪い」というレベルではなく、脳内での運動の計画や信号の伝達がスムーズにいかないことによって起こる、神経発達症の一種です。
2. 日常生活で見られる具体的な症状
発達性協調運動症の症状は、大きく「粗大運動」と「微細運動」の2つに分けられます。
粗大運動(全身を使った大きな動き)
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縄跳びやダンスなど、複数の動きを同時に行うことが苦手
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ボールを投げる・受けるといったタイミングを合わせる動作が難しい
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片足立ちなどのバランスを保つのが苦手で、よく転んだりぶつかったりする
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自転車の運転や水泳の習得に時間がかかる
微細運動(手先を使った細かな動き)
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鉛筆の筆圧が不安定で、字が枠からはみ出す、または書くのが極端に遅い
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箸やスプーン、フォークの使い方がぎこちない
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ボタンの掛け外し、靴紐を結ぶといった動作が難しい
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ハサミや定規などの道具をうまく扱えない
3. 他の神経発達症との併存について
発達性協調運動症は、単独で現れることもありますが、他の神経発達症と併存しやすいという特徴があります。
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注意欠如・多動症(ADHD): 集中力の欠如や不注意から、さらに怪我をしやすかったり、動作が雑に見えたりすることがあります。
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自閉スペクトラム症(ASD): 体の使い方の感覚(固有受容感覚)の特性から、独特な歩き方や姿勢になることがあります。
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限局性学習症: 手先の不器用さから「書くこと」に困難が生じ、学習面での自信喪失につながるケースがあります。
4. なぜ「早期の理解」が必要なのか
発達性協調運動症のお子様は、周囲から「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすく、本人も「自分は何をやってもダメだ」と自信を失ってしまう二次的な問題(自己肯定感の低下や不登校など)が生じやすい傾向にあります。
大切なのは、本人の努力不足ではなく**「脳の特性による困難さ」**であることを、家族や学校が正しく理解することです。
5. 当院でのサポートと対策
発達性協調運動症は、適切なトレーニングや環境調整で、日常生活の困りごとを減らしていくことが可能です。
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スモールステップでの練習: 複雑な動作を細かく分解し、一つずつ「できた!」を積み重ねます。
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道具の工夫: 持ちやすいグリップの鉛筆や、マジックテープの靴など、負担を減らす道具を活用します。
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理学療法・作業療法: 遊びやリハビリテーションを通じて、脳と体の連携をスムーズにするサポートを行います。
まとめ
「不器用さ」はお子様の個性の一部でもありますが、それによって本人が生きづらさを感じている場合は、専門的なサポートが必要です。
お子様の「動き」について気になることがあれば、一人で悩まずにぜひ当院へご相談ください。神経発達症の視点から、お子様が自分らしく、自信を持って過ごせる方法を一緒に考えていきましょう。
リハビリに関してのQ&A
Q.療育・運動療法は1ヶ月に何回できますか?
A.1回に20~40分の運動を、1カ月に最大6回実施出来ます。
Q.療育・運動療法はどんな曜日や時間に行いますか?
A.回数や頻度については、医師からの指示によって決まりますが、予約の空き状況によって頻度が変更になることもあります。またその日の運動が終わるごとに次回予約をお取り致します。
Q.他の医療機関で療育や運動療法、リハビリテーションを受けていますが、複数の施設でも受けられますか?
A.他院で療育やリハビリを受けている場合、制度上当院との併用ができかねます。各施設から発行される明細表をご確認の上、ご相談ください。
Q.急用などで変更もしくはキャンセルしたい場合はどうすればいいですか?
A.予約変更は可能です。変更が必要な場合は、お早めに担当までご連絡ください。