首・肩・肘の痛みについて
首から肩にかけての痛みは
無意識の負荷もよくある原因
首は頭の重みを支えるために無理な負荷がかかりやすく、寝違えなどの痛みを感じることも多いです。肩は長時間同じ姿勢を続ける、枕が合っていないなど、何気ない習慣が引き金となることがよくあります。肩は肩甲骨周辺の筋肉のこわばりが原因ということが多いようですが、首は神経、食道や気管、甲状腺、太い血管などが集中しているため、原因を慎重に見極める必要があります。
症状
TROUBLE
- 首を回すと痛みが出る
- 腕をあげられない
- 首が痛くて上を見あげられない
- 首肩の痛みと、頭痛の症状がある
- 首がだるい
- 首に違和感がある
- 肩こりを繰り返している
- 肩がしびれる
- 背中が苦しくなることがある
- 肩のはりがある
代表的な疾患
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頚椎症
- ストレートネック
- 斜頚
- 変形性頚椎症
- 外傷性頚部症候群
- 頚部捻挫
- リウマチ性多発筋痛症
- 線維筋痛症
- 肩こり
- 五十肩
- 四十肩
- 腕神経叢損傷
- 肩関節脱臼
- 上腕骨頚部骨折
- 変形性肩関節症
主な疾患
反復性肩関節脱臼
おもにラグビー、アメフト、柔道などのスポーツ中によくみられるケガです。肩を脱臼すると、関節を支える靭帯がうまく治らず脱臼を繰り返すようになります。腕を後ろで組むだけで脱臼するなど、日常生活にも支障をきたすようになり、再発予防には手術が必要になります。
石灰沈着性腱板炎
肩を安定させる筋肉の腱の集まりである「腱板」という組織にカルシウムの結晶である石灰がたまって炎症が起き、急な肩の激痛が起こります。多くは短期間で自然に治りますが、痛みが慢性化して腕があがらない、回せないということもあります。40~50歳代の女性に多くみられます。
腱板断裂
肩と肩甲骨をつなぐ腱板の一部が切れることで肩周りの関節が炎症を起こします。関節の動きが硬くなることはないのですが、腕をあげるとき力が入らないと感じたり、寝返りの際に痛みで目が覚めたりします。40歳以上の男性の右肩に多く発症するため、肩の使い過ぎが原因だと言われています。
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
骨や軟骨、靭帯などの老化によって肩周りの関節組織が炎症を起こし、痛みます。肩や腕の酷使や生活習慣、ストレスなどが原因と考えられています。発症間もないときは痛みが強いですが、徐々に落ち着きこわばりや硬さがメインになってきます。そこでストレッチなどご自宅でできるリハビリを行い、動きの回復を図ります。
骨折
首や肩が骨折したら、強い痛みとともに曲げたり、腕をあげたりする動作ができなくなります。骨折の2~3日後に、内出血(青あざ)が現れる場合があります。交通事故、スポーツ、転倒、衝突などでも起こりますが、高齢の人が骨粗しょう症で骨が弱くなったところに起こります。診断はX線やMRI検査で行います。
頚椎症
頚椎という首の7つの骨や骨の間でクッションの役割を果たす椎間板・靭帯が、加齢などによりへたったり変形したりする疾患です。頚椎を通る神経が圧迫されることでさまざまな症状が引き起こされます。頚椎症は、障害を受ける神経の場所によって、「脊髄症」と「神経根症」に分けられます。どちらも50歳以上の男性に多く男性は女性の約2倍とされています。さまざまな神経症状が引き起こされますが、軽度なものから日常生活が困難な程の手のしびれや痛み、頚部の痛みや肩こりなどが起こるものもあります。
頚椎椎間板ヘルニア
7つある首の骨の間でクッションの働きをしている椎間板の一部がはみ出て神経を圧迫することで起こります。首・肩甲骨・肩までの痛みや腕や手のしびれが発生します。圧迫箇所によっては足のもつれや歩行困難もあります。加齢以外にも、悪い姿勢での仕事やスポーツの動きで急に発症することがあります。
頚椎椎間板症
椎間板は外側の線維からなる線維輪と、そのなかにあるゼリー状の髄核からなります。この髄核が無理な姿勢や動作によってずれて、線維輪に亀裂が入ると痛みが生じます。さらにその状態が進み椎間板の水分が減った状態を頚椎椎間板症と呼びます。首を曲げたり反ったりしたときに強く痛みがでることが多く、肩こりのようなはりを感じることもあります。
交通事故後の捻挫や打撲
事故により首や腰に衝撃が加わり痛みが出現することがあります。X線やMRI検査などをもとに診断し治療します。初期には痛みを和らげる飲み薬、湿布で治療し、痛みが和らいだら、物理療法や運動器リハビリテーションによって治療します。脳や内臓の損傷が疑われる場合などは適切な医療機関をご紹介します。
その他頸部や肩周囲の術前後治療
当院では手術は行っておりませんが、手術前後の治療は行います。たとえば首や肩の手術前に状態の評価を行い、必要な筋肉強化を行い、手術後はリハビリを行うことも可能です。運動療法は医療保険だけでは治療期間に限界があるため、通所リハビリテーション施設を併設し、ご高齢の方などは介護保険でも運動療法が行えるように取り組んでいます。
よくあるご質問
肩こりや五十肩でも診察してもらえますか?
もちろん診療できます。「そのうち治るだろう」「たいしたことはないだろう」と放置しておくと慢性痛に移行することが珍しくありません。また重大な疾患が隠れていることもあるため、注意が必要です。
ストレートネックは治りますか?
ストレートネックは、じっと下を向いてスマホやゲームをする姿勢を長時間続けることが原因の疾患で、患者さまは年々増えています。頭の重みがダイレクトに伝わり、首や肩回りの痛みやこりにつながります。治療としては、原因となる姿勢を矯正することが最優先です。またリハビリによるほぐしやストレッチも並行して行い、改善を図っていきます。